Short Story アンニュイ
今から述べる物語は、日常未曾有にある出来事のほんの一つにすぎないのだけど
その当事者にとっては、とても重大かつ深遠なのである。
ここはとある建物の一角
内部を見渡してみると
食欲をみたす輩、読書に励む輩、惰眠をむさぼる輩
独り言を言う輩(教師)
まあ、いつもと変わりばえしないので、外でも見ることにする。
まさに五月晴れと言うべきか、今日の天気を見ているとこの小さな空間にせせこましく
していることがひどく馬鹿らしく思えてくる。近隣にある小学校から楽しげな声が聞こえ
てきた。ああ、自分にもかつてはあんなふうに何の憂いもなく日々を過ごしてたのだ・・・
なんて文学的ノスタルジックに浸ってみたりしていると、
「何見てんだよ」暇をもてあましまくってる隣の奴が話しかけてきた。
「ん?隣の小学校。」
「あー、もしかしてかわいい子いないかさがしてんだろ」
「何でだよって、おい、聞けよ。」
瞬間的に3人あつまってなにやら話をしている。その3人が同時にクルッとこっちに振り
返った。
「マジで!?」
「おまえ小学生が好きだったのか」
「これはクラス全員に言いふらさないと」
はしゃぐ3人
(何もりあがってんだろう・・・)
それからというもの
勝手にあだ名をつける輩「ロリ男がさあ・・・」
意味もなく話しかけてくる輩「オッス」ニヤニヤ
わけのわからない共感を抱く輩「同志発見」
なぜか知っているこの人物(教師)「〇〇、小学生ばかり見てないで勉強しろよ。」
まあ、メリットがないわけでもない(?)
知人がそっち方面のアニメや雑誌を(強制的に)貸してくれるのだ。
「これ、今日中に絶対見とけよ」
「・・・・・・・・・・・・」
(これを俺にどうしろというのだ)
(焼却炉の中に置いて帰ろうか)
(いや、そんなことをしたら俺の明日の生命が危うい。アイツは熱狂的だから・・・)
家についたらついたで一苦労
(なんで俺がこそこそしなくちゃならんのだ)
今となっては外を見るという行為自体やりずらいので、惰眠組に加わっているのだが
「意識すんなよ」
「別にいいんだぜ小学校見たって」
「俺ら温かく見守ってやるから」
(怒怒怒怒怒怒怒怒)
周囲がうるさく快眠できずにいる
Fin
Short Story indexに戻る トップページへ戻る